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抗議声明文

高校無償化対象学校から朝鮮高級学校を除外する 日本政府の処置に反対する抗議声明

  • 教育は希望を社会に根付かせる最小限の公的な約束として各界各層の利害関係を越えた未来志向的な ビジョンを提示しなければなりません。社会の希望である次世代に、いまよりも開かれた社会の均等な 恵沢が及ぶよう、安定した教育環境を提供することは何よりも重要です。したがって現世代はこれを準 備し実現させる教育政策をつくる義務があり、次世代にはこのような教育政策の恵沢のもとに自由に学 ぶ権利があります。
  • 去る 3 月 31 日、後期中等教育の機会をすべての子どもたちに提供し保障しようという目的の「公立 高等学校に係わる授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金支給に関する法律」(以下、高校無償化法) が日本の国会を通過しました。
  • 私たち日韓合同授業研究会、韓日合同教育研究会は、上の法律及び実施措置に二つの問題点があるこ とを指摘せざるを得ません。一つは、高校受験に合格した子どもだけが助成の対象とされたことであり、 二つは、対象学校を選定する基準が全面的に政府の判断によってのみ決められたということです。同法 施行日である 4 月 1 日、「各種学校であって,我が国に居住する外国人を専ら対象とするもの」(以下, 外国人学校)への施行は行われませんでした。また 4 月 30 日、「文部科学省公示第 82 号」により対象 外国人学校31校が明らかにされましたが、その一覧から朝鮮高級学校(以下、朝鮮高校)は完全に排 除されていました。このような朝鮮高校を高校無償化法の対象から排除しようという動きがいま文部科 学省内で、進行しています。(6月 30 日現在)
  • 私たち上記二つの団体は教師及び教育にかかわる者の会であり、韓国と日本の教育を発展させるため に交流しています。その一環として私たち二つの団体は、日本内の朝鮮学校と教育の内容を研究し、授 業を通じて交流し、相互の信頼を積み上げてきました。たとえこのようないきさつがなかったとしても、 高校無償化法の対象から多くの子どもたちが疎外されること、とくに朝鮮高校をその対象から排除する ことに深く憂慮し、このような日本政府の処置に強く反対します。
  • 現在、韓国と日本の教育現場では多様な言語と文化を持って生まれた子どもたちが互いに交わりつつ 学び育つ多文化教育が進行しています。多文化教育は国籍や皮膚の色によって、だれも差別したり差別 されたりしないようにする未来志向的な教育であり、これに反対する人はひとりもいないでしょう。日 本内の朝鮮高校の生徒たちも民族と国籍にかかわりなく、教育を受ける権利を付与された日本社会の一 員として、配慮され尊重されなければなりません。さらに 2004 年、小泉純一郎前総理は訪朝した際、 覚書で「在日朝鮮(韓国)人を差別しない」と約束しました。高校無償化法の差別なき施行を通じて信 頼を得られることを強く求めます。
  • 国連人種差別撤廃委員会は、総括所見を出して朝鮮高校を差別する処置と政治家の差別的発言に対し て日本政府に厳重に警告し、改善を促しています。また子どもの権利条約に照らしても、日本内のすべ ての子どもたちは教育の機会均等に基づいて、いかなる差別も受けることなく教育を受ける権利があり ます。
  • 韓国併合 100 年の今年、高校無償化法の対象から朝鮮高校を排除することは、未来志向的日韓(朝) 関係に逆行する措置です。このような反歴史的な恥ずかしい行為を、日本政府が率先して行うことは当 然批判されなければならないと、私たち日韓の二つの団体は思いをひとつにしています。日本政府は社 会の一部に存在する民族排外主義的風潮を助長するこのような措置を撤回し、高校無償化法の対象を日 本国内のすべての高等学校に差別することなく適用することを強く求めます。
  • 韓国政府もまた、このような日本政府の措置に対してこれ以上他人事として見過ごすことなく、あらゆる外交ルートを通じて抗議し、多様な方法でこれを是正すべく日本政府に強く要求することを求めま す。
  • 改めて言うまでもなく、朝鮮高校の生徒たちは日本社会を形成する一員です。また保護者たちは納税 者として義務を果たしています。それにもかかわらずこれまでも朝鮮高校の保護者たちは、国庫助成や 税制上の優遇処置の欠落など、二重三重の過酷な経済的負担に耐えてきました。それに加えて今回の措 置は教育差別であるばかりでなく、社会経済的にも朝鮮高校と保護者たちが差別されていることを認め る事例です。
  • よって私たち日韓合同授業研究会、韓日合同教育研究会は志をひとつにして、高校無償化法の対象か ら朝鮮高校を排除する措置に抗議し、朝鮮高校を含むすべての外国人学校を例外なくその対象とするこ とを強く求めます。

 

―私たちの主張―
1、教育は社会の未来を開く公的な約束として、すべての利害関係を離れ、だれもが差別なく教育を受 ける権利があることを、わたしたちは強く宣言します。
1、すべての国家、いかなる社会であれ、言語、文化、国籍を理由に、教育を受ける権利を奪われるこ となく、教育の機会は均等に提供されなければならないことを、私たちは強く主張します。
1、日本政府は朝鮮高校だけでなく、日本国内のすべての外国人学校を高校無償化法の対象に含めるこ とを、私たちは強く求めます。
1、韓国政府は日本国内の朝鮮高校に対して関心を持ち、日本政府の差別政策が是正されるように、あ らゆる可能な方法を用いることを、私たちは強く求めます。
1、教育無償化法の対象に朝鮮高校だけでなく、日本国内のすべての外国人学校が含まれるまで、あら ゆる努力を尽くすことを、私たちは強く決意します。
2010年8月7日 日韓合同授業研究会(日本) 韓日合同教育研究会(韓国)

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